医療従事者に対する情報提供のあり方が見直される中で、看護師人財 の活用に注目が集まっています。
日本CSO協会の調査によれば、CSO業界における看護師資格保有者は、2009年時点では約30名に過ぎなかったものの、2023年には200名を超える規模へと拡大しています。

看護師人財活用拡大の背景

活用規模の拡大の背景には、いくつかの構造的な変化があります。

まず、高度なマネジメントが求められる新たな治療法や、医療機器、デジタルデバイス、アプリなど、これまでになかった治療貢献プロダクトが次々と登場していることです。従来どおりの情報提供体制では、現場で必要とされる情報が十分に行き届かない場面が増えています。

 

また、多職種連携による治療が一般化し、意思決定や運用のプロセスが複雑化しています。誰に、どのタイミングで、どの情報を届けるかを設計する重要性が高まっています。
さらに、ペイシェントセントリシティの考え方が浸透する中で、医療従事者の視点と患者中心の姿勢の双方を理解する人財の価値が、これまで以上に高まっています。

こうした変化の中で、医療現場を理解し、多職種や患者との接点を知る看護師人財が、従来の情報提供を補完する新たなプレーヤーとして期待されるようになっています。 

 

看護師人財が持つ、医療現場を「動かす」視点とは

看護師ならではの視点とは、単に医療知識や臨床経験を有しているということではありません。治療や製品、施策を「理解する立場」ではなく、医療現場の業務や患者さんの生活の中で“どう運用されるか”を起点に捉える立ち位置にあることが、最大の特長です。

具体的には、次のような視点が挙げられます。

01

 治療・製品を「現場の業務フロー」に翻訳する視点 

看護師は、治療や医療機器、デジタルツールが、

  • 誰の業務の中で
  • どのタイミングで
  • どのような手順で使われ
  • どこで負荷やつまずきが生じやすいか

を、日常業務として把握しています。
そのため、正しい情報を伝えること自体ではなく、医療現場で無理なく回る形に落とし込む 視点と役割を持っています。

02

多職種間の“認識のズレ”を見つける視点 

医療現場では、医師、看護師、薬剤師、病棟スタッフ、事務部門など、職種ごとに役割や関心、制約が異なります。
看護師は、こうした多職種の間に立ち、調整や補完を行いながら業務を進めてきた経験を持つ職種です。

そのため、
「誰に、どの情報を、どの深さで伝えるべきか」
「どこで認識のズレが生じやすいか」

といったギャップを敏感にとらえる視点を持っています。

03

感情だけでなく“行動”として捉える視点

看護師が向き合っているのは、理想的な治療プロセスだけではありません。
治療が続かない理由、指示が守られない背景、生活の中で生じる無理や不安など、患者さんの実際の行動や反応を日常的に見ています。

このため、患者支援においても、
「何を伝えるか」だけでなく、
「どうすれば続くか」「どこで離脱しやすいか」
といった継続を前提とした視点を持つことができます。
 

04

医師でも企業担当者でもない「中間的な立ち位置」

看護師は、医師の判断を支え、患者さんの生活に寄り添いながら、現場運用を担う立場にあります。
医師でもなく、患者でもなく、企業側でもないこの中間的な立ち位置にあるからこそ、現場実態と施策意図の双方を踏まえた橋渡し役を担うことができます。

活用領域

こうした視点や役割は、以下のような支援につながります。

 

  • 新薬導入時の立ち上げ支援
  • バイオシミラー導入・切替支援
  • 医療機器導入時の運用支援
  • デジタルヘルス・アプリ導入支援
  • 医療従事者向け教育
  • 患者さんの治療継続支援
  • 多職種連携支援
  • 現場インサイトの収集と構造化

看護師人財が力を発揮する4つのフェーズ

 医療施策は、導入、現場での教育・運用、患者支援、定着というプロセスを経て実行されます。それぞれの段階において、異なる課題が生じることは少なくありません。 

 

①導入時の理解浸透 新しい治療・製品・施策を、現場が自分ごととして理解できるよう支援

  • 医師への説明は実施しているが、看護師・薬剤師・病棟スタッフへの理解浸透が十分でない
  • 情報は共有しているものの 、現場の業務と結びつかず自分ごととして捉えられていない
  • 新しい治療や製品の背景、導入意図が現場で十分に噛み砕かれていない


導入初期の段階では、正しい情報が提供されているかどうかだけでなく、その情報が現場の業務の中でどのように受け止められているかが重要になります。
看護師は、新しい治療や製品、施策について、医師がどのように判断するかに加えて、その判断が現場のどの業務に影響し、誰の負担が増え、どこで混乱が生じやすいかを具体的に想像できる立場にあります。


この視点を活かすことで、説明を単なる情報共有で終わらせるのではなく、現場スタッフが自身の業務と結びつけて理解し、納得できる形へと翻訳することが可能になります。
結果として、導入時の不安や認識のズレを抑え、理解浸透を支援する役割を担うことができます。

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② 現場運用・教育 マニュアルや説明内容を、実際の業務に落とし込む支援

  • 説明会は実施したが、現場で想定どおりに運用されていない
  • マニュアルや手順書が、実際の動線や業務実態と合っていない
  • 教育内容や理解度に、施設や担当者ごとの差が生じている

導入後の運用や教育の段階では、「正しい手順」であることと「現場で実行できること」が必ずしも一致しない場面が多く見られます。

看護師は、病棟、外来、在宅など、さまざまな現場で限られたリソースの中で業務を回してきた経験を持つ職種です。

そのため、どの手順であれば現実的に実行可能か、どこまでなら現場で対応できるのか、どの工程が省略されやすいのかといった点を踏まえた支援が可能です。

運用を前提とした教育やサポートを通じて、現場の実態に即した形での定着を促すことができます。

 

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③ 患者支援 患者さんの行動や生活背景を踏まえた、継続支援

  • 患者さんへの説明は行っているが、治療やサービスが継続しない
  • 不安や負担の所在が十分に把握できていない
  • 患者接点で得られた情報が、施策全体に活かされていない

患者支援においては、疾患や治療内容を説明するだけでなく、患者さんの生活の中で実際にどのような行動が取られているかを見る視点が求められます。
看護師は、患者さんの感情面にとどまらず、なぜ実行できなかったのか、生活のどこに無理が生じているのか、どのタイミングで離脱しやすいのかといった行動の背景を日常的に捉えています。
この視点を活かすことで、単発的な対応ではなく、継続を前提とした患者支援の設計に関わることが可能になります。
また、患者接点から得られた示唆を整理することで、今後の支援や施策の改善につなげることもできます。

 

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④ 定着に向けた課題把握・解決 現場課題を把握し、次の打ち手につなげる支援

  • 導入後の課題が断片的に把握されており、全体像が見えにくい
  • 現場の声が十分に集まらない、または情報として整理されていない
  • 改善の必要性は認識しているが、次の対応や打ち手につながっていない

施策や取り組みは、導入して終わりではなく、その後の運用状況や現場で生じている課題を継続的に把握し、改善していくことが重要です。
しかし実際には、現場で感じられている違和感や困りごとが断片的なまま留まり、施策全体の見直しに十分活かされないケースも少なくありません。


看護師は、医療従事者と患者の双方と継続的に接点を持ちながら業務に関わる職種です。
加えて、特定の職種や企業の立場に偏りすぎない中間的な立ち位置にあるため、現場で起きている事象を一面的ではなく多角的に捉えることができます。


その結果、現場で何が起きているのか、どのような構造的要因が背景にあるのか、どこに改善の余地があるのかを整理し、施策や支援設計に活かせる情報としてまとめることが可能になります。
定着に向けた課題把握と改善のサイクルを回すうえで、こうした視点が活かされます。
 

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当社の人財要件

看護師資格を有していること自体が、企業における支援業務にそのまま適しているわけではありません。医療現場での臨床経験に加え、企業やプロジェクトの一員として活動するためには、求められる視点や役割が異なります。

 

看護師人財を活用した支援を検討する際には、単に経験年数や診療科だけでなく、どのような特性やスタンスを持つ人財かを見極めることが重要です。

例えば当社では、企業向けの支援を担う看護師人財に対して、単なる臨床経験の有無だけでなく、次のような点を重視しています。

01.現場経験を「構造」として捉えられること

日々の業務経験を、個別の体験談として語れるだけでなく、
業務フローや職種間の役割分担、制度や運用上の制約といった構造として整理できる視点が求められます。
現場で起きている事象を一つひとつの出来事として捉えるのではなく、「なぜ問題が起きているのか」「問題・課題が発生しやすい要因はどこにあるのか」 といった観点で整理できる人財は、企業側の施策検討や改善においても有用な示唆を提供できます。

02.多職種や企業担当者と協働できるコミュニケーション力

企業向けの支援では、医療従事者だけでなく、企業担当者やプロジェクトメンバーなど、
医療現場とは異なる立場の関係者と協働する場面が多くなります。

そのため、専門性を保ちながらも、相手の背景や前提を理解し、言葉や説明の深さを適切に調整できる対話力が重要になります。

03.自律的に役割を理解し、行動できる姿勢

企業やプロジェクトの一員として活動する場合、決められた業務をこなすだけでなく、状況に応じて求められる役割を理解し、関係者と連携しながら自律的に行動する姿勢が求められます。
自身の役割や責任を意識して動けるかどうかは、支援の質や安定性に大きく影響します。

04.治療や医療への貢献意識を持ち、変化に向き合えること

企業向けの支援では、新しい治療法や製品、施策に携わる機会も多くなります。
その中で、既存のやり方に安住するのではなく、変化を前向きに捉え、治療や医療への貢献に対して主体的に関わろうとする姿勢は重要な要素です。
医療従事者として「患者を救う」という共通の目的を持つからこそ、 新しい環境や役割に向き合いながら学び続け、より良いあり方を模索しようとする意識を持っているかどうかが問われます。

マネジメント・サポート体制

看護師人財が担う内容はプロジェクトごとに異なり、関係者や期待される役割も一様ではありません。そのため、看護師人財を配置しただけで、個人の力量や現場対応力に委ねる形では、安定した成果につながりにくいケースがあります。
こうした背景から、看護師人財による支援では、マネジメントやサポート体制が重要なポイントとなります。

 

例えば当社では、CSO運営を通じて培ってきたプロジェクトマネジメントの考え方を踏まえ、稼働前に導入背景や期待役割を整理したうえで支援を開始し、稼働後もマネージャーが定期的に状況を確認しながら、課題整理や関係者とのすり合わせ、日常的なモチベーション管理を行っています。

このように、看護師人財が現場で孤立することなく、専門性を発揮し続けられる環境があるかどうかも、支援を検討する際の重要なチェックポイントの一つになります。

 

契約形態についての考え方

看護師人財による支援を検討する際には、支援内容や体制だけでなく、どのような契約形態が適しているかも重要な検討ポイントになります。


一般的には、特定の業務や期間において現場の一員として稼働するケースでは派遣契約、複数の機能や役割を組み合わせてプロジェクトとして遂行する場合には業務委託契約が選択されることが多く、それぞれにメリットと留意点があります。


いずれの契約形態が適しているかは、支援の目的、役割の範囲、想定期間、クライアント側で担う運用負荷などによって異なります。
そのため、あらかじめ一つの形に決めるのではなく、どのような関わり方が最も成果につながるかという観点から検討することが重要です。


当社では、支援内容や体制、クライアント側の運用状況を踏まえ、派遣契約・業務委託契約それぞれの特性を整理したうえで、プロジェクトに適した契約形態をご提案しています。

 導入ステップ 

導入形態や必要人員、求める機能によってスケジュールは異なりますが、企業ナース人財の導入にあたっては、一般的に以下の流れで進行します。

 01. ご相談・ヒアリング 

まずは、課題やご要望をお聞かせください。

<主な確認事項>

•導入の背景・課題

•支援したい製品・サービス・施策

•開始時期・想定期間

•必要な役割やスキル

•対象施設や対象エリア

•契約形態のご希望

 

Point

役割要件が固まっていない場合でもご相談可能です。課題や目的を踏まえ、適した支援内容や人財要件をご提案します。必要に応じて、秘密保持契約の締結も行います。

02. 基本契約

ご発注内容の方向性が定まり次第、契約条件に関する基本的な枠組みを定めます。
派遣契約の場合と業務委託契約の場合で、必要な契約条件や運用ルールを整理します。

 03. リソースプラン・体制設計

ご要望に応じて、アサイン候補人財の検討、またはプロジェクト体制の設計を行います。
単一機能での活用か、複数機能を組み合わせるかもこの段階で整理します。

04. スキル確認・役割整理

必要な経験やスキルに沿って、候補人財や体制案をご確認いただきます。

あわせて、期待役割、対象施設、報告ライン、活動範囲などを明確にしていきます。

05.個別契約・詳細条件の確定

派遣の場合はスタッフごとの個別契約、委託の場合は業務内容や運用体制の詳細を確定します。実際の活動内容、就業場所、報告方法、関係者の役割などを整理します。

06. セットアップ

稼働に向けて、必要な準備を進めます。

<例>

  • 業務環境の整備
  • 関係者への共有
  • 資材や情報の受け渡し
  • 報告フロー、会議体の設定

07. 事前研修

必要に応じて、稼働前に事前研修を実施します。

製品・サービス知識、疾患理解、対象施設の特徴、想定活動内容などを整理し、稼働準備を行います。

08.就業・プロジェクト開始

準備完了後、現場での活動を開始します。
契約形態に応じて、クライアント体制の一員として支援を開始する場合と、当社プロジェクトチームとして活動を開始する場合があります。

09.定期面談・進捗確認

稼働開始後は、定期的に進捗確認や課題整理を行います。

クライアントご担当者との定期面談に加え、必要に応じて当社内でメンバー支援やコーチングも行い、継続的な運営改善につなげます。

 

 

よくある質問

 

どのような業務が対象になりますか
新薬導入支援、バイオシミラー切替支援、医療機器導入支援、医療従事者向け情報提供、教育支援、患者支援、多職種連携支援、現場インサイト収集、デジタルヘルス・アプリ導入支援など、看護師人財が価値を発揮できる業務が対象です。 
どの契約形態が適しているか分からない場合でも相談できますか
派遣は現場の一員として稼働しやすい一方、業務委託はプロジェクトとして成果や運営を一体的に設計しやすい特性があります。 どちらが適切かは、目的、役割範囲、運用負荷、期間、管理の持ち方によって変わります。 例えば当社では、要件整理の段階で特性を比較し、適した契約形態をご提案しています。
全国対応は可能ですか
対象施設や支援内容に応じて、全国を見据えた活動設計が可能です。対面とオンラインの使い分け、拠点体制、報告設計などを含めて検討することが重要です。
スタートアップ企業や新規事業でも相談できますか
スタートアップ企業や新規事業立ち上げ段階の企業においてもご相談可能です。限られた体制や予算の中でも、必要な役割や支援範囲を整理しながら、事業フェーズに応じた現実的な活用方法をご提案します。

どのサービスを使えばよいか分からない場合でも相談できますか

製品・サービス特性、対象施設、支援目的、現場課題などを踏まえながら、適した支援内容をご提案します。